地元の駅ではトイレのアナウンスがあった。
改札を過ぎると聞こえてくるこの声。
「たきのうといれです」
しかし、昔の私は"多機能"という言葉がよくわからなかったために、
「たきのおといれ(滝のおトイレ)」と聞こえていたのだ。
当時の私は、この”滝のトイレ”を全力で読み解き、「水洗トイレであることを”滝”と表現しているのだ」と理解していた。
更に、公共施設のアナウンスではトイレにすら、”お”を付けるのだと感動した。
中学生か高校生のある時まで、最寄り駅には滝のトイレがあった。
「真ん中は多機能トイレです。」
今ではしっかりと聞こえる。”多機能”トイレであると。
実家に帰るたびに多機能トイレの声を聞く。どこか切ない気持ちになった。