私を連れ出して、どこか遠いとこまで連れ出してほしい。
私は海にいきたい。
海を見に来たい。その海に還りたい。吸い込まれるような満ち引きに、本能のまま飛び込みたい。暗くて、怖くて、煩い海にそのまま2人で沈んでいきたい。
2人なら怖くない。手をつないで共に行こうよ。怖くないから。寂しくないから。
海はまるで、踏切だ。音が鳴って、光って、人を引き付ける。
最初はドライブが良い。海まで車を走らせて、夕日を見に行くんだ。日が落ちきるまで、遊んで疲れ切って、夜風を感じたい。2人なら怖くない。きっとうまくいく。そう思えるくらい楽しくいよう。
最後まで一緒だよ。
肺に入り込む冷たいのを感じる。君の手が緩んでいく。君が黒に染まっていく。
視界は白く優しい光をとらえる。ここがどこだかもうわからない。
ただ、迎えが来たのだ。そう感じていた。